スーパーホットサマー
まだまだ暑い日が続きますが、みなさんお元気にお過ごしでしょうか?
さて、美専では8月22日、今年4回目の体験入学/オープンキャンパスがありました。
その成果はまた後日に記事にしますが、今回は別のテーマで。
この日、手伝いに来てくれた卒業生の明山敬太さんと、彼の最新作のご紹介です。
明山さんは、3年前、美専の映像専攻を卒業し、南先生の紹介で、美専の先輩の勤める制作会社に就職しました。NHKの関連会社で、オフィスもNHK大阪の社屋内。仕事内容も大阪制作の朝の連続テレビ小説や土曜ドラマの制作。
彼の仕事は制作&アシスタントディレクター。
ロケハンやスケジュール調整など事前の準備から、撮影に入れば、毎日スタジオやロケに参加し、人を動かしたり、物を準備したり、撮影のためのさまざまなサポートをします。
初年度、朝ドラ「ごちそうさん」の撮影に参加した後は、土曜ドラマ「ボーダーライン」、2年目は再び朝ドラ班で「マッサン」、3年目は今年9月末から始まる朝ドラ「あさが来た」の序盤の撮影まで無遅刻無欠勤で仕事を続けてきました。
そんな明山さんですが、「自分の撮りたい映画を撮る」という夢のために、今年の6月で退社しました。
彼が撮りたかった映画とは。
夏、大学4回生の亜弥とフリーターの郡司は、東京から大阪へやって来る。
就職を前に漠然と不安になった亜弥が、生まれ故郷の大阪に帰って自分を見つめ直すための旅であり、
それに彼氏の郡司がついて来たのである。
彼らは、亜弥の幼馴染みである麻衣子の住むマンションを訪ね、そこで数日厄介になることに。
麻衣子の同棲相手はカメラマンの井上。麻衣子とともに亜弥も彼の被写体となるが、
井上はレンズを通してモデルを支配するような狂気を隠し持っていた。
そのことにいち早く気づいた郡司であったが……
見えない檻に閉ざされた人間が、いつしか飼い馴らされてしまう、
まるで狂気が伝染していくような人間のドラマを
夏の燦々とした太陽の下、あるいは閉塞した空間のなかで
動と静、光と闇のコントラストの効いた映像で切り取り、
安定したコンティニュイティを壊し
暴力的にシーンが立ち現れるように綴っていく。
題して「スーパーホットサマー」。
ちょっとおマヌケなタイトルが、スタイリッシュな映像と乖離していて、なんとも味わい深い。
主要キャストの4人と1シーンだけ登場する子役は、すべてNHK時代の人脈から。
事務所のマネージャーさんを通じてオファーを出し、快諾してくれたといいます。
みなさん過激なシーンも積極的に演じてくださいました。
また、美専の講師でもある蟷螂襲も2シーンで出演。朝ドラなどでもお馴染みの渋すぎる演技を披露。
キャメラは、明山さんの1年後輩の田中莉奈さんと、美専の講師である私おんじが担当。
録音は明山の1年先輩の小林健太さん。
照明スタッフとヘアメイクはこれまたNHK人脈からプロの方が手弁当で参加。
プロデューサーもサポートする会社もなく、名もない22歳の監督としては、
できるだけの制作体制を整えて臨んだ撮影だったのです。
7月末から8月の4週にわたり、週末を中心に8日間で、ほぼ全カットを撮影。
干からびてしまいそうな暑い現場が続きましたが、充実した現場であったことは間違いありません。
明山監督は、現在鋭意編集中。
音楽も美専時代の知人を頼って発注しているとのこと。
完成は年明けになるかもしれませんが、完成後は国内外の映画祭のコンペに出品します。
贔屓目もあるでしょうが、十分受賞が狙える作品になると信じています。
8年前の卒業生、安川有果さんも、昨年2作目の長編「カジレナ、熱愛中!」が東京・大阪で公開されたのに続き、3年前の長編デビュー作「Dressing Up」が、シアターイメージフォーラム(東京)で再び公開中。新聞や映画誌でも取り上げられ、注目が高まっています。
ぜひ、明山さんにも安川さんに負けじと頑張ってもらいたいですね。
なお、明山さんの美専での卒業制作はこちら。